田村 憲司(たむら けんじ)教授

教授/博士(農学)

<略歴>1987年農学博士(筑波大学)取得。筑波大学準研究員、神戸大学助手、筑波大学講師等を経て、2012年より現職。

研究

1)半乾燥地における土壌劣化

2)地球温暖化に伴う土壌生態系の変化および土壌有機炭素の動態解析

3)無肥料栽培(自然栽培)圃場における土壌の肥沃度維持機構の解明 など

  温暖化や砂漠化などのグローバルな環境問題を研究する上で、それら地球環境変化に、土壌がどのように応答するかについての研究が緊急の課題です。また、福島原発事故後の放射性セシウムの動態解明と除染が急務となっています。

 土壌は、母材・気候・生物・地形・年代・人為といった土壌生成因子の総合的な相互作用によって生成される歴史的自然体として定義されます。自然界において土壌は独自の形態・性質・機能を持っています。このような自然体としての土壌を土壌体(soil body)と呼んでいます。それに対し、土壌体の一部を取り出した物質を土壌物質(soil material)といいます。一般的には、土壌は、土壌物質として認識されています。土壌を土壌物質として捉えるのと土壌体と認識したのとでは、土壌研究だけでなく、環境教育においても、根本的にその研究教育方法が異なります。今まで、教育研究の現場で土壌を扱う場合、土壌物質として扱っている例が数多く見受けられます。土壌を土壌体として認識することがいかに重要であるか。それは、土壌観が変わってくることからも明らかです。土壌を土壌体と認識すると、土壌は先程の土壌生成因子の組み合わせの仕方、土壌生成作用の強弱によって、いろいろな土壌が生成され、それは、土壌生成分類学的に様々な土壌に分類され、また場所が違うとさまざまな土壌が分布し、生成因子、1つ1つと密接な関係性が認められます。さらに、その土壌が非常に長い時間かかって生成されるものとして理解されるのです。

講義・実験

[専門基礎科目] 生物資源フィールド学実習、[専門科目Ⅰ]分析化学基礎実験、 [専門科目Ⅱ]土壌科学 応用生命化学コース専門実験、土壌調査法実習、[横断領域科目]有機農業実習  大学院:土壌科学特論

浅野 眞希(あさの まき)助教

助教/博士(農学)

筑波大学大学院修了。博士(農学)取得。慶應義塾大学助教、筑波大学準研究員、(独) 農業環境技術研究所研究員等を経て、2015年より現職。

研究

1)土壌が担う生態系での役割と環境問題
土壌は、植生や微生物等の生物との相互作用、鉱物の風化などを通じ、その土地固有の環境に応じた様々な役割を担っていますが、そのメカニズムは複雑で、特に土壌学からの研究は不足しています。そこで、半乾燥地域の草原や、絶滅危惧動植物の生息地域においてフィールド調査を実施し、調査対象地の土壌の生成作用および土壌の理化学的特性を明らかにすることから、環境保全に関する研究を行っています。

2)土壌団粒構造の形成と土壌有機物蓄積メカニズムの解明
土壌有機物は、グローバルには土壌炭素の貯留源、ローカルには土壌構造の維持や養分循環を担い、陸上生態系において不可欠な存在ですが、その蓄積メカニズムはほとんど解明されていません。そこで、表層土壌中のミクロなスケールで生じる有機物と粘土鉱物や金属イオンの相互作用と微生物の関係や、土壌の物理的な構造と有機物蓄積の関係解明に関する基礎研究を行っています。

3)気候変動や土地利用変化に対する土壌環境の応答
 土壌は環境変化にたいして動的な存在です。気候変動による温度・水分環境の変化に応じて、特に土壌中の有機物の質および量的変化や、養分循環の変化が生じると考えられます。これらの土壌環境の変化が、自然または農業生態系にどのような作用を引き起こすのか、将来予測と環境保全に対して提言が行えるような研究課題を進めていくことが重要だと考えています。

講義・実験

[専門基礎科目] 生物資源フィールド学実習、[専門科目Ⅰ]環境化学、分析化学基礎実験、 [専門科目Ⅱ]環境保全科学、応用生命化学コース専門実験、土壌調査法実習、[横断領域科目]環境保全科学、有機農業実習